2023.05 オオムシクイ と メボソムシクイ (Japanese leaf warbler sp.) その識別

オオムシクイ(Kamchatka leaf warbler)May, 2023

いつもの場所で野鳥を観察しました.


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現実世界では師走!しかし時間軸が崩壊している当ブログでは,未だに春の渡りが続いております.写真のストックは溜まるがこれがなかなか捌けない.毎日のように更新できる人ホント尊敬する.

今回はメボソムシクイとオオムシクイ,いわゆるメボソムシクイ上種に含まれる鳥の紹介.これらは一般に「ムシクイ(虫喰)」と呼ばれ,ぱっと見はウグイスによく似ているけど,実は南から渡ってきて日本やさらに北で繁殖する渡り鳥.

オオムシクイは英名にKamchatkaとあるように,南から渡ってきて北海道以北で繁殖する.一方のメボソムシクイは夏鳥として,標高の比較的高い山で繁殖する.これらはよく似た,というか外見がほとんど同じなので,この2種が混在する渡り期には,しばしその識別に悩むことがある.


オオムシクイ(Kamchatka leaf warbler, Phylloscopus examinandus

5月中旬の朝7時頃,いつもの公園の広場にて."ジロジロジロジロ..."と,メボソムシクイっぽいのが鳴いているなぁと近づいてみると,樹上で茶色い小鳥が飛び回っていた.

ほどなくして,見易い場所に止まってくれた.これでも15m程の距離があったので,鬼トリミングをかけている.

そして囀りのサービスタイム.軽快なリズムで「ジジロジジロジジロ...」とはっきり聴こえる.ポカポカ陽気のなか鳥の歌を聴く,何とも贅沢な時間だ.

...ところがここで,あれ?メボソ?じゃない?と違和感が強くなってくる.メボソムシクイは「ジジロジ ジジロジ...」と4音の繰り返しで鳴く(この4音を「ゼニトリ」と聞きなす)のに,どう聞いてもこの子は「ジジロ ジジロ...」の3音ずつしか聞こえない.

さてはオオムシクイか.まだ確信とまではいかないので,とりあえずカメラを置いて録音をはじめる.その時録音したのが以下の音声ファイル(ノイズフィルタをかけた).実はバックグラウンドでキビタキも鳴いている.

間違いなく「ジジロ」のリズム.オオムシクイは3音で鳴くから,これはオオムシクイだと思いますよと,その場に居合わせた人に伝えるも,何故か反応が薄い.

せっかくよく鳴いてくれているのに,なんか勿体ないな~.でも後になって考えてみると,その理由はオオムシクイが「新しい」鳥であるからかもしれない.実は本種,2012年(日本鳥類目録 改訂第7版)に旧メボソムシクイから分離して独立種になったばかりの鳥(メボソムシクイ,オオムシクイ,コムシクイの3種がそう).なので,ベテランさんにとっては昔からメボソムシクイと呼んできた鳥.何の問題もないし,鳴き声も興味がなければ一緒なのである.

とはいえ,外見上の特徴はほぼ同じといっても,鳴き声,繫殖地,そして渡り時期の3つに決定的な違いがあるので,興味のある人は調べてみていただきたい.

ソナグラム

同定にあまり関心を持ってもらえずかわいそうだったので,もうちょっと分析をしてあげることにした.

上の音声を処理して,ソナグラムにしてみた.横軸は時間.縦軸は音の高さを示す.
黄色が強く出ているところが,オオムシクイと思われる個体の鳴き声.とりあえず,黄色の塊が12個くらいあって,よく見ると3×4になっているのが分かるだろうか.

メボソムシクイなら,例えばこれが4×4になる.(3,4音が何セット続くかは個体差がある)

分かりやすくすると ↓ こんな感じ.下にもう一度音声ファイルを貼るので,聞きながら比べてみていただきたい.

スマホの録音なのでノイズだらけ,低解像度ではあるものの,何とか種類を識別できるくらいのレベルでよかった~.

メボソムシクイ(Japanese leaf warbler, Phylloscopus xanthodryas

おまけ.5月下旬撮影.メボソムシクイはこんな感じの鳥.アングルが悪いのもあって,写真で違いは全くわからない.でも,ハッキリ4音で鳴いていたので間違いないでしょう.

 

ところで,鳥のさえずりがない秋の渡りでは識別はどうなるかというと,これはもうお手上げ.僅かな外見の違いや地鳴き,観察時期から総合的に判断するしかないけど,常に「?」がつきまとう.

そんな残念な写真が私のハードディスクにも眠っている.






 

ききなし
鳥の鳴き声を「法法華経」みたいに言葉に表すことを「ききなし」という.たとえば,
ホトトギス    → 「キョッキョキョキョキョ」→「特許許可局」
センダイムシクイ → 「チヨチヨビー」
→「焼酎一杯ぐい~」
ウグイス     → 「ホーホケキョ」→「法法華経
みたいな.
メボソムシクイはというと,
メボソムシクイ  → 「ジジロジジジロジ」→「銭取り銭取り」
と,まぁ確かにそう聞こえなくはないが,かなり俗っぽい聞きなしをされる.
でも個人的には,忍たまのきり〇みたいでヤだなってことで.「ジジロジ」で普通に認識している.
というか,ききなし通りに鳴き声を覚えたことってない気がするのだが...
 

クリアな鳴き声はこちらを再生ください.


 

 

2023.04 オオルリ (Blue-and-white Flycatcher)

オオルリ(Blue-and-white Flycatcher)April, 2023
いつもの公園で野鳥を観察しました.

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オオルリ(Blue-and-white Flycatcher, Cyanoptila cyanomelana

秋の渡りが目前というこの時期に,まだ春の渡りの総集編をやっている.
オオルリは南からの移動時期が早いグループに含まれていて,当地では最後の目撃が4月の最終週.その最後の最後に良い出会いがあったので写真とともにご紹介したい.

 

この日は朝からどんより曇り空,時折強い風が吹く個人的に縁起のいい天気.
が,いくら探し回っても夏鳥がいない.山に行けばよかったか.

やる気をなくしかけて(特に早起きしてボーズだと,眠気が上乗せで結構くるものがある),ぶらぶらと歩きながら木々を眺める.そうしていると,視線を一瞬フライキャッチャーが横切った.
あのサイズと止まり方はオオルリ.双眼鏡を出すまでもない肉眼で判る距離であった.なのでカメラを準備するも,ここで子どもたちが登場.逃げられてしまう.

 

その後なんとか再補足して捕まえたのが上の写真.天気が悪いのと鳴かないので,木々の中層にいてくれるのは良いが,ほぼほぼ鳴かないので見つけるのには苦労する.

 

鳴かないのは理由があって,恐らく渡りで到着したばかりなのだろう.最初見た時からもうずっとお食事モード.食べては休み,また食べては休み,時々思い出したように囀る.その声にもどこか覇気がないように感じた.

一心不乱のお食事タイムが続く.そのうちに大物をゲット.

これは栄養満点.ブンブン振り回して枝に打ち付けてからいただきます.

数分がかりでやっとのことで飲み込み,またしばしのご休憩.

見失ってはまた補足して,を続けるうちに今度は開けたところに出てきた.

また何かゲットしたようで,細い触覚が2本,嘴からコンニチワしている.

なかなか青色が観られないんだよね~とか思いながら観察する.

 

そして,この飛んだ先がまた良い場所であった(何の木か未だに判らない).
遮るものはなく,オオルリの瑠璃色が一目瞭然である.これには暫し目を奪われるものがあった.

何度も書きます.この青は構造色.条件が揃って,そして何よりの運があって初めて!美しい瑠璃色に見える.そういった意味での「幸せの」青い鳥でもあるのかなぁなんて.

天気とオオルリのお疲れモード(?)のおかげか,比較的低い場所に今回は姿を現してくれた.これが囀りモードだと,瞬く間に木のてっぺんに行ってしまうのだから,とにかく運がよかったと言うほかない.

 

この個体は翌日には姿を消していた.この日のうちに補給と回復を終えて,繁殖地まで移動したのだろう.

 

オオルリの鳴き声はコチラ.

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2023.05 M山探鳥・後編 オオルリ (Blue-and-white Flycatcher) ほか

オオルリ(Blue-and-white Flycatcher)May, 2023

お山で野鳥を観察しました.先日の前編からM山に場所を移しての沢探索編になります.


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~沢歩き~

登山道(なのか??)を下っていくとやがて左眼下に沢の流れる音とミソサザイの声がする.やがてこれにあたると,⑱ミソサザイの囀りがそこかしこから響いてくる.

この声につられ奥へ進んでいくと,沢沿いの木の茂みでなにやら大型の鳥が動く.カラスかと思いきや...

 

カケスだった.

(過去写真から)
今回は鳴き声が聞こえていなかったので,いきなり遭遇したパターン.どうやら水でも飲みに来ていたらしい.お互いにビックリして飛んで行ってしまった.

ジムグリ(Japanese forest ratsnake, Elaphe conspicillata

ここからは沢に沿ったコースを進んでいく.人が大勢行き交っているというのにミソサザイオオルリが結構歌っている.
愛想のよいミソサザイがいたので足を止めていると,近くをジムグリが這う.

ジムグリは水場でよく見る無害なヘビ.模様が薄いので幼蛇だと思う.捕まえようとするも,掴んだしっぽからスルッと抜けてあっという間に隠れてしまった.”地潜(ジムグリ)”と書かれるだけのことはあるな.

ヒバカリやジムグリのようなヘビは触っても大丈夫だが,強いストレスを感じると非常~に臭う液体を下面から分泌する.これが石鹸で洗っても全く取れないので,素手でもって持ち上げたりするのはおすすめしない.

オオルリ(Blue-and-white Flycatcher, Cyanoptila cyanomelana

ジムグリを見失ってまた,ミソサザイを観察していると,今度は頭上でオオルリが鳴く.見上げるとオスのオオルリが歌っている.

...が,下から見上げると青が全く見えない.都市公園で観るオオルリはいつもこんな感じだ.

それもすぐ飛び去って,その先の斜面ではオオルリのメスらしきも一緒に動いている.どうやらそこに巣があるようだ.

 

みんなはこのペアと愛想の良いミソサザイにまだ夢中なので,ふらふらと沢を登ってみる.すると前方の川岸にオオルリが再登場.お腹の模様が一緒だから同じ個体だ.

囀りとともに尾羽をピョコピョコさせており,実に可愛らしい.
これは間違いなく本日のハイライト.後続に合図し,岩の上の自分は慎重に道に戻る.

オオルリは道を越えて斜面上の低木に移る.尾羽をピョコピョコさせつつ,オオルリの方は低木を移りながら上流に移動.
するとメスも現れ,2羽で仲良く沢の対岸に.

茶色いメスは背景と同化してもう分からない.

オスの方も色が出ないんだな....尾羽は上げたままの姿勢をキープしている.これがメスへのアピールなのだろうか.それがだんだんと水面の方に降りて行って...

オスが水浴びを始めた! 

距離は6mくらいだろうか.自分の位置からは被りが酷くて撮れない.とりあえず様子を眺めていると,

メスがオスを追い出した! アタシの定位置で何してくれてんのよ,結構な勢いである.そして今度はメスの水浴びが始まる.これもギリギリ撮れない.


 

追い出されたオスはというと,少し離れた岩陰で水浴びを済ませ,今度は羽繕いに入った.

youtu.be

近くで水遊びしているファミリーも,特にご両親が興味津々.こういうのってオトナの方が夢中になるんだよね.せっかくなので双眼鏡を渡して「幸せの青い鳥」をおすそ分け.オトナの方が子どもよりキャッキャしていて面白かった.

 

 

最後は目の前に.ずぶ濡れだったはずの羽根もいつの間にかフワフワを取り戻して,また2羽揃ってどこかに消えていった.

 

余韻に浸っていると,今度はミソサザイが囀りながら近づいてくる.そしてこちらから2mを切った距離の流木に止まる!

ミソサザイ(Eurasian wren, Troglodytes troglodytes

ここがソングポストになっているんだな.目の前とかではなく,もはや隣.こちらのことは意に介さず見事に歌い上げた.

まぁ,ホントのところは人間を警戒しているけど,求愛に巣作りにそれどころではない,といった感じだろうか.この距離感で次行くと飛ばすことはまず間違いない.それもこれも,時期のおかげだ.

 

同じ個体か別の個体かわからないが,すぐ背後では巣材集めのシーンも.

ミソサザイ留鳥.繁殖シーズンは早くて3月から渓流で囀りはじめる.
ミソサザイのオスはただ鳴きまくっているだけではなく,縄張りの中に6~7個の巣をせっせと構える.歌と物件の両方でメスを呼び込むのだ.
使われていない巣はダミーと呼ばれている,どうやらそれはメスのお眼鏡に適わなかったものらしい.メスの審査に通った巣(のベース)だけが,最後メスが内装を持ち込んで仕上げをするという.


この地鳴きだけの個体は,果たしてオスかメスか.それによって見方がガラリと変わるのも面白い.この巣材を咥えて飛んで行って,沢の鳥探しは終了した.

 

その後もたくさんのミソとオオルリが鳴く中帰路につき,最後に⑳キセキレイと㉑アオサギを回収.写真はまた引っ張ってきてのご紹介.

なんとも充実した1日となった.

その他カラスやヒヨドリなど入れると,記録した鳥は全部で26種.歩いた距離はちょうど10km.
やはり初夏の山はつよい.しかし,次行って当たるとも限らないのが山のメンドクサイところでもあり,面白いところでもある.行ってみなければわからないのである.

 

オオルリミソサザイの鳴き声はこちらへ. 

2023.05 M山探鳥・前編 キビタキ (Narcissus Flycatcher) ほか

キビタキ(Narcissus Flycatcher)May, 2023

お山で野鳥を観察しました.


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鳥友さんからお誘いを頂戴し,レジャーで名高い山で探鳥してきた.

今回のパーティーは約10人の大所帯.ましてや目的地は山.トドメにGWの人手が重なり,鳥が観られない3要素が揃ってしまっている.なかなか難しい鳥探しになるだろうとは思いながら電車に揺られる.

 

2時間かけて現地に到着...もう9時前だ.どうしてこんな遅くに開始かというと,実は前日も山に入っていたのだ.それも未明から.なので始発で前乗りするつもりが起きられませんでした.
それでも.前日からの鳥モードはONのまま,1名だけゾーンに入った状態で鳥探しが始まる.前日は20㎞歩いている.最後まで保つかこの体力...!

 

~O山の登山道へ~

山での鳥見はする方なので,先頭を進みながらゆるゆると鳥探しを進めさせてもらうことに.最悪見つからなくても声が聴ければいいか~と,まずは縦走ルートになっているO山の登山道の方へ向かう.この時間はまだ人気が少ない.

さっそく①ホオジロの鳴き声が.元気に梢で囀っている.
なお,今回写真を撮れなかった分はそれっぽいのを過去写真から貼り付けている.

(過去写真から.鳴き声はコチラへ↓)
ホオジロ|日本の鳥百科|サントリーの愛鳥活動

 

この道は山の等高線に沿ったコース.眼下は結構落ち込んでいて,明るい林床(針広混交)もあって他の山々がよく見渡せる.
谷あいでキビタキやヒガラが鳴いているが当然見えない.前方の山からはボボ...ボボ...と②ツツドリの声が響く.

(過去写真から.鳴き声はコチラへ↓)
ツツドリ|日本の鳥百科|サントリーの愛鳥活動
求めていたのはまさにこれ.5月初週は鳥のGWでもあって,南から着いたばかりの夏鳥が縄張りとペアを確保せんと鳴きまくっている.この時間でこれなら,未明はもっと凄いことになっていただろう.

キビタキ(Narcissus flycatcher, Ficedula narcissina

少し進んだ先にもキビタキの囀り.200m間隔で別個体が鳴いている間隔.今度は登山道に面した斜面のカエデだったかではっきり囀っている.少し若い③キビタキ雄.
登山道の前方やその脇に注意
山に登る人が口を揃えて言う.
鳴いている場合は場所の見当がつくのでさておき,鳴かない鳥を見つけたパターンを思い起こすと,確かに登山道の先の目線以下で見ることが多い.
そこしか観られないんだから当たり前じゃんかと言われそうだが,
それっぽい理屈を考えると,
・道自体が等高線に沿って設けられていること.
 つまり両側に傾斜面があってその木の梢で囀るから,下斜面の個体が見えやすい
・登山道の空間がポッカリ空いているので,上と下を行き来する鳥が姿を見せる
・鳥が道に沿って逃げることもあるので目につく
・道端に種子や昆虫のエサが落ちている.水たまりができている
こんなところか.なので前方にも気を配っていないと鳥を飛ばすことになる.もっとも歌っている最中は鳥も夢中なので,多少のことなら逃げないようだ.ただ逃げないからといって鳥の邪魔をしていいわけではないというのは,心に留めておく必要がある.まとまりのない文章だな...

 

このキビタキは50mくらいの狭いエリアを,やはり道に沿って囀りながら移動していた.
雨覆と風切羽に褐色が残ることから第1回夏羽のようだ.

キビタキを観察した場所は5差路になっていて地形がいいので,暫くこの付近で鳥探しをすることに.何より人が来ないので鳥を探しやすい.
草地になっている開けた場所にさっそく④ウグイスと⑤アカハラ.鳴いているだけで姿は見られない.

(過去写真から.冬鳥のオオアカハラっぽいが気にしてはいけない.)

歩を進めて針葉樹帯に差し掛かる.頭上に小鳥⑥ヒガラ,⑦コガラ,⑧エナガ,⑨メジロの鳴き声.ほどなくして,姿を捉えることができた.当然写真はない.

声でわかる人,姿でわかる人,反応は様々だが,ここは是非鳴き声を覚えていただきたいと思う.鳴き声の度にいちいち識別を待っていては,あっという間に下山時刻が来る.散々待ってメジロだったヒガラだったということも起きうるのが山の鳥見である.

(過去写真から)

 

~O山休憩所~

クロツグミらしき声も聴こえたので小高い丘に登ると,そこに眺望ゼロの休憩所があった.どこかでオオルリも鳴いている.
休憩所の先で確かにツグミ系の地鳴きが聞こえるのだが,すぐロストしてしまう.

代わりに⑩オオルリの囀りがだんだん近づいてくる.丘を降りてみればやはり,登山道に面した木で囀っていた.少し移っては鳴いて,ひとしきり終わるとまた移って,という感じで10分ほど.

(過去写真から.鳴き声はコチラへ↓)
オオルリ|日本の鳥百科|サントリーの愛鳥活動

頭上15mほどでなかなか姿は捕まらないものの,オオルリの囀りを初めて聞けたという人もいるので,とりあえず今日の合格ラインは突破.

もう一度丘に戻って探す.大型キツツキ ⑪アオゲラの声.丘を飛び越えていった.つづいてニホンリス.詳しい鳥友さんにリスの識別を教えてもらう.

(過去写真から.鳴き声はコチラへ↓)
 アオゲラ|日本の鳥百科|サントリーの愛鳥活動


休憩所のまわりにアカマツ.小鳥の群れを眺めていると,順番に⑫シジュウカラヤマガラコゲラ.さっきとは違う群れなんだな.見えないが⑮ゴジュウカラも鳴いている.さらにハイピッチの特徴ある高音が近づいてくる.

(過去写真から)

キクイタダキ(Gold crest, Regulus regulus

3羽の⑯キクイタダキがマツの樹冠を囀りながら飛び交っていた.
写真がこの逆光しかなかったのが残念.小さいのと動きが速すぎるのとで,なかなかこの鳥は山で観察に向かない.ホントは頭に菊を戴いている愛らしい鳥だ.
鳴き声はコチラへ↓
キクイタダキ|日本の鳥百科|サントリーの愛鳥活動

 

~M山へのルート~

ここまでで山の鳥はそれなりにコンプリート.半分くらいはチラ見だけど,それでも夏鳥含む16種をGETとは,GW侮りがたしである.

ひとしきり満足したのでM山に移動する.
5差路からは,アップダウン少なくM山に抜ける道がある.ここがなんと⑰ヤブサメの宝庫.広葉樹帯の斜面下で見えないけれど,200m進んで7羽ほどいたように記憶している.これ粘っていれば目の前に出てくるなって場所も.次回の宿題になった.

(もちろん過去写真.鳴き声はコチラへ↓)
ヤブサメ|日本の鳥百科|サントリーの愛鳥活動

ヤブサメはシシシシシ...とまるで秋の虫のような高音で鳴く.その高さ8~9kHz.普通なら聞こえないことはないが,屋外で聞き取ることは容易ではない.まず,ヤブサメの声と分かっていなければ脳がスルーしてしまうような声だ.

 

M山に入ると再びカラ類が賑々しくなる.とともに,圧倒的大勢の人,人,人.一気に先行きが怪しくなってくるが,とりあえず進む.
さきほどと同じようなシチュエーションでオオルリが鳴いている.個体数はそれなりに多いようだが,往来が激しいのでなかなか近づいてこない.

過去写真を引っ張ってきたので,想定より長くなってしまった.
ここで一旦切ることにしよう.

~後半につづく~

2023.04 マミチャジナイ (Eyebrowed thrush)

マミチャジナイ(Eyebrowed thrush)April, 2023
いつもの公園で野鳥を観察しました.

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時期とこれまでの執筆順が前後するが(そもそもペースが遅すぎるのがなんとかならんか).4月中旬,南から続々と渡り鳥の第1陣が入ってきた頃合いのこと.
当地でオオルリクロツグミ旋風が沸き起こっていた裏で,マミチャジナイがひっそりとやってきていた.

マミチャジナイ(Eyebrowed thrush, Turdus obscurus

マミチャジナイはツグミの仲間.ややこしい名前だけど,マミ(眉がある)+チャ(茶色の)+シナイ(鶫ツグミ)ってことらしい.

マミチャジナイは日本では冬鳥でもなければ夏鳥でもない.旅鳥という,日本を中継して繁殖地(北方)と越冬地を行き来する鳥とされている.
したがってその渡り途中で日本に立ち寄る(ごく一部は日本でも越冬する)が,春はルートが違うらしく,当地では専ら秋の渡りで目撃される(といいつつ年1か2程度)鳥だ.であるからして,春に見られたというのは比較的珍しいケースだと思う.

 

状況を書くと長くなるから,まず写真1枚.これが滞在【1日目AM】.

この植栽の外で採餌中のツグミを見つけたのが最初.
肉眼で白い眉が見えたもんだから,いそいそと双眼鏡とカメラを取り出す.取り出しているうちにピョンピョン跳ねて何処かへ消えてしまった.

少し悔しいので待ってみることにし,その間にクロジを見る.
さらに探すこと40分.植栽の根元にツグミ大のシルエットが.
だんだん出てきて...

紛れもないマミチャジナイでございます.渡り途中のマミチャを春に観察するのは初めて.
でも全身がスッキリ,とはなかなかいかない.最初が一番良かったというのは,往々にしてよくあること.この後また引っ込んで見えなくなり,とりあえず第1部が終了.8時から12時までマミチャジナイを相手にしていたことになる.

 

【1日目PM】

大気が崩れ出し,じきに雨予報となる.雨雲レーダーの赤いのがもくもく湧いてきており,みるみる暗くなってきた.それじゃあ,ということで雨中鳥見と洒落こむべく,ポイントに再出撃をする.

台風でもゲリラ豪雨でも鳥を観てきた(下記参考)ので,もはや怖いのは雷とクマだけ.悪天候ごときで引きこもっていたら勿体ない.

 

ただ想定より激しい豪雨でレーダーは赤を通り過ぎて紫.探すこちらは一瞬で上から下まで浸水する.というか雨粒が痛いこと痛いこと.

でもマミチャジナイは無事,姿を見せてくれた.降り出した頃合いで植栽から出てきたので捕捉は容易だった.これにはちゃんと理由があって,ツグミ類はミミズが大好物だから.
地中の獲物が雨で捕まえやすくなるので,その動きを期待していたのである,と,あとづけ.


とはいえ土砂降りのなかではレンズの狙いも自分の姿勢もなかなか定まらない.動画も回したが全くピンが喰わない.
なんとかお見せできる程度の写真が残ってくれただけよかった.

 

【2日目】
翌日も姿を確認.前日に雨が降ったので移動を見合わせたようだ.

 

【3日目】
滞在しているとすればもう慣れてきた頃だろうと,5:00AMすぎに様子を見に行く.

結果,普通にいた.
そしてなんと!百日紅サルスベリ)の上に乗って大サービス.

100gにも満たないこの鳥は当然,滑ることはない.
ツグミ類ってサイズが丁度よくてスラっとしていてかわいいよね.

 そのあとは下に降りて餌を探したり

人やカラスが来ると飛び上がって様子を窺ったり

また下に降りたり.

 色々なシチュエーションで楽しませてくれた.

 

【4日目】
朝姿を確認したものの,それ以降は目撃がプツリ.さらに北を目指して移動したのだろうか.

結局,連続4日間の滞在を確認した.春の渡りでこれだけ長く,とは全く想定していなかった.
また秋の渡りで会おう...!

 

マミチャジナイの鳴き声はコチラ.

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