2023.05 M山探鳥・前編 キビタキ (Narcissus Flycatcher) ほか

キビタキ(Narcissus Flycatcher)May, 2023

お山で野鳥を観察しました.


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鳥友さんからお誘いを頂戴し,レジャーで名高い山で探鳥してきた.

今回のパーティーは約10人の大所帯.ましてや目的地は山.トドメにGWの人手が重なり,鳥が観られない3要素が揃ってしまっている.なかなか難しい鳥探しになるだろうとは思いながら電車に揺られる.

 

2時間かけて現地に到着...もう9時前だ.どうしてこんな遅くに開始かというと,実は前日も山に入っていたのだ.それも未明から.なので始発で前乗りするつもりが起きられませんでした.
それでも.前日からの鳥モードはONのまま,1名だけゾーンに入った状態で鳥探しが始まる.前日は20㎞歩いている.最後まで保つかこの体力...!

 

~O山の登山道へ~

山での鳥見はする方なので,先頭を進みながらゆるゆると鳥探しを進めさせてもらうことに.最悪見つからなくても声が聴ければいいか~と,まずは縦走ルートになっているO山の登山道の方へ向かう.この時間はまだ人気が少ない.

さっそく①ホオジロの鳴き声が.元気に梢で囀っている.
なお,今回写真を撮れなかった分はそれっぽいのを過去写真から貼り付けている.

(過去写真から.鳴き声はコチラへ↓)
ホオジロ|日本の鳥百科|サントリーの愛鳥活動

 

この道は山の等高線に沿ったコース.眼下は結構落ち込んでいて,明るい林床(針広混交)もあって他の山々がよく見渡せる.
谷あいでキビタキやヒガラが鳴いているが当然見えない.前方の山からはボボ...ボボ...と②ツツドリの声が響く.

(過去写真から.鳴き声はコチラへ↓)
ツツドリ|日本の鳥百科|サントリーの愛鳥活動
求めていたのはまさにこれ.5月初週は鳥のGWでもあって,南から着いたばかりの夏鳥が縄張りとペアを確保せんと鳴きまくっている.この時間でこれなら,未明はもっと凄いことになっていただろう.

キビタキ(Narcissus flycatcher, Ficedula narcissina

少し進んだ先にもキビタキの囀り.200m間隔で別個体が鳴いている間隔.今度は登山道に面した斜面のカエデだったかではっきり囀っている.少し若い③キビタキ雄.
登山道の前方やその脇に注意
山に登る人が口を揃えて言う.
鳴いている場合は場所の見当がつくのでさておき,鳴かない鳥を見つけたパターンを思い起こすと,確かに登山道の先の目線以下で見ることが多い.
そこしか観られないんだから当たり前じゃんかと言われそうだが,
それっぽい理屈を考えると,
・道自体が等高線に沿って設けられていること.
 つまり両側に傾斜面があってその木の梢で囀るから,下斜面の個体が見えやすい
・登山道の空間がポッカリ空いているので,上と下を行き来する鳥が姿を見せる
・鳥が道に沿って逃げることもあるので目につく
・道端に種子や昆虫のエサが落ちている.水たまりができている
こんなところか.なので前方にも気を配っていないと鳥を飛ばすことになる.もっとも歌っている最中は鳥も夢中なので,多少のことなら逃げないようだ.ただ逃げないからといって鳥の邪魔をしていいわけではないというのは,心に留めておく必要がある.まとまりのない文章だな...

 

このキビタキは50mくらいの狭いエリアを,やはり道に沿って囀りながら移動していた.
雨覆と風切羽に褐色が残ることから第1回夏羽のようだ.

キビタキを観察した場所は5差路になっていて地形がいいので,暫くこの付近で鳥探しをすることに.何より人が来ないので鳥を探しやすい.
草地になっている開けた場所にさっそく④ウグイスと⑤アカハラ.鳴いているだけで姿は見られない.

(過去写真から.冬鳥のオオアカハラっぽいが気にしてはいけない.)

歩を進めて針葉樹帯に差し掛かる.頭上に小鳥⑥ヒガラ,⑦コガラ,⑧エナガ,⑨メジロの鳴き声.ほどなくして,姿を捉えることができた.当然写真はない.

声でわかる人,姿でわかる人,反応は様々だが,ここは是非鳴き声を覚えていただきたいと思う.鳴き声の度にいちいち識別を待っていては,あっという間に下山時刻が来る.散々待ってメジロだったヒガラだったということも起きうるのが山の鳥見である.

(過去写真から)

 

~O山休憩所~

クロツグミらしき声も聴こえたので小高い丘に登ると,そこに眺望ゼロの休憩所があった.どこかでオオルリも鳴いている.
休憩所の先で確かにツグミ系の地鳴きが聞こえるのだが,すぐロストしてしまう.

代わりに⑩オオルリの囀りがだんだん近づいてくる.丘を降りてみればやはり,登山道に面した木で囀っていた.少し移っては鳴いて,ひとしきり終わるとまた移って,という感じで10分ほど.

(過去写真から.鳴き声はコチラへ↓)
オオルリ|日本の鳥百科|サントリーの愛鳥活動

頭上15mほどでなかなか姿は捕まらないものの,オオルリの囀りを初めて聞けたという人もいるので,とりあえず今日の合格ラインは突破.

もう一度丘に戻って探す.大型キツツキ ⑪アオゲラの声.丘を飛び越えていった.つづいてニホンリス.詳しい鳥友さんにリスの識別を教えてもらう.

(過去写真から.鳴き声はコチラへ↓)
 アオゲラ|日本の鳥百科|サントリーの愛鳥活動


休憩所のまわりにアカマツ.小鳥の群れを眺めていると,順番に⑫シジュウカラヤマガラコゲラ.さっきとは違う群れなんだな.見えないが⑮ゴジュウカラも鳴いている.さらにハイピッチの特徴ある高音が近づいてくる.

(過去写真から)

キクイタダキ(Gold crest, Regulus regulus

3羽の⑯キクイタダキがマツの樹冠を囀りながら飛び交っていた.
写真がこの逆光しかなかったのが残念.小さいのと動きが速すぎるのとで,なかなかこの鳥は山で観察に向かない.ホントは頭に菊を戴いている愛らしい鳥だ.
鳴き声はコチラへ↓
キクイタダキ|日本の鳥百科|サントリーの愛鳥活動

 

~M山へのルート~

ここまでで山の鳥はそれなりにコンプリート.半分くらいはチラ見だけど,それでも夏鳥含む16種をGETとは,GW侮りがたしである.

ひとしきり満足したのでM山に移動する.
5差路からは,アップダウン少なくM山に抜ける道がある.ここがなんと⑰ヤブサメの宝庫.広葉樹帯の斜面下で見えないけれど,200m進んで7羽ほどいたように記憶している.これ粘っていれば目の前に出てくるなって場所も.次回の宿題になった.

(もちろん過去写真.鳴き声はコチラへ↓)
ヤブサメ|日本の鳥百科|サントリーの愛鳥活動

ヤブサメはシシシシシ...とまるで秋の虫のような高音で鳴く.その高さ8~9kHz.普通なら聞こえないことはないが,屋外で聞き取ることは容易ではない.まず,ヤブサメの声と分かっていなければ脳がスルーしてしまうような声だ.

 

M山に入ると再びカラ類が賑々しくなる.とともに,圧倒的大勢の人,人,人.一気に先行きが怪しくなってくるが,とりあえず進む.
さきほどと同じようなシチュエーションでオオルリが鳴いている.個体数はそれなりに多いようだが,往来が激しいのでなかなか近づいてこない.

過去写真を引っ張ってきたので,想定より長くなってしまった.
ここで一旦切ることにしよう.

~後半につづく~