2023.05 M山探鳥・後編 オオルリ (Blue-and-white Flycatcher) ほか

オオルリ(Blue-and-white Flycatcher)May, 2023

お山で野鳥を観察しました.先日の前編からM山に場所を移しての沢探索編になります.


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~沢歩き~

登山道(なのか??)を下っていくとやがて左眼下に沢の流れる音とミソサザイの声がする.やがてこれにあたると,⑱ミソサザイの囀りがそこかしこから響いてくる.

この声につられ奥へ進んでいくと,沢沿いの木の茂みでなにやら大型の鳥が動く.カラスかと思いきや...

 

カケスだった.

(過去写真から)
今回は鳴き声が聞こえていなかったので,いきなり遭遇したパターン.どうやら水でも飲みに来ていたらしい.お互いにビックリして飛んで行ってしまった.

ジムグリ(Japanese forest ratsnake, Elaphe conspicillata

ここからは沢に沿ったコースを進んでいく.人が大勢行き交っているというのにミソサザイオオルリが結構歌っている.
愛想のよいミソサザイがいたので足を止めていると,近くをジムグリが這う.

ジムグリは水場でよく見る無害なヘビ.模様が薄いので幼蛇だと思う.捕まえようとするも,掴んだしっぽからスルッと抜けてあっという間に隠れてしまった.”地潜(ジムグリ)”と書かれるだけのことはあるな.

ヒバカリやジムグリのようなヘビは触っても大丈夫だが,強いストレスを感じると非常~に臭う液体を下面から分泌する.これが石鹸で洗っても全く取れないので,素手でもって持ち上げたりするのはおすすめしない.

オオルリ(Blue-and-white Flycatcher, Cyanoptila cyanomelana

ジムグリを見失ってまた,ミソサザイを観察していると,今度は頭上でオオルリが鳴く.見上げるとオスのオオルリが歌っている.

...が,下から見上げると青が全く見えない.都市公園で観るオオルリはいつもこんな感じだ.

それもすぐ飛び去って,その先の斜面ではオオルリのメスらしきも一緒に動いている.どうやらそこに巣があるようだ.

 

みんなはこのペアと愛想の良いミソサザイにまだ夢中なので,ふらふらと沢を登ってみる.すると前方の川岸にオオルリが再登場.お腹の模様が一緒だから同じ個体だ.

囀りとともに尾羽をピョコピョコさせており,実に可愛らしい.
これは間違いなく本日のハイライト.後続に合図し,岩の上の自分は慎重に道に戻る.

オオルリは道を越えて斜面上の低木に移る.尾羽をピョコピョコさせつつ,オオルリの方は低木を移りながら上流に移動.
するとメスも現れ,2羽で仲良く沢の対岸に.

茶色いメスは背景と同化してもう分からない.

オスの方も色が出ないんだな....尾羽は上げたままの姿勢をキープしている.これがメスへのアピールなのだろうか.それがだんだんと水面の方に降りて行って...

オスが水浴びを始めた! 

距離は6mくらいだろうか.自分の位置からは被りが酷くて撮れない.とりあえず様子を眺めていると,

メスがオスを追い出した! アタシの定位置で何してくれてんのよ,結構な勢いである.そして今度はメスの水浴びが始まる.これもギリギリ撮れない.


 

追い出されたオスはというと,少し離れた岩陰で水浴びを済ませ,今度は羽繕いに入った.

youtu.be

近くで水遊びしているファミリーも,特にご両親が興味津々.こういうのってオトナの方が夢中になるんだよね.せっかくなので双眼鏡を渡して「幸せの青い鳥」をおすそ分け.オトナの方が子どもよりキャッキャしていて面白かった.

 

 

最後は目の前に.ずぶ濡れだったはずの羽根もいつの間にかフワフワを取り戻して,また2羽揃ってどこかに消えていった.

 

余韻に浸っていると,今度はミソサザイが囀りながら近づいてくる.そしてこちらから2mを切った距離の流木に止まる!

ミソサザイ(Eurasian wren, Troglodytes troglodytes

ここがソングポストになっているんだな.目の前とかではなく,もはや隣.こちらのことは意に介さず見事に歌い上げた.

まぁ,ホントのところは人間を警戒しているけど,求愛に巣作りにそれどころではない,といった感じだろうか.この距離感で次行くと飛ばすことはまず間違いない.それもこれも,時期のおかげだ.

 

同じ個体か別の個体かわからないが,すぐ背後では巣材集めのシーンも.

ミソサザイ留鳥.繁殖シーズンは早くて3月から渓流で囀りはじめる.
ミソサザイのオスはただ鳴きまくっているだけではなく,縄張りの中に6~7個の巣をせっせと構える.歌と物件の両方でメスを呼び込むのだ.
使われていない巣はダミーと呼ばれている,どうやらそれはメスのお眼鏡に適わなかったものらしい.メスの審査に通った巣(のベース)だけが,最後メスが内装を持ち込んで仕上げをするという.


この地鳴きだけの個体は,果たしてオスかメスか.それによって見方がガラリと変わるのも面白い.この巣材を咥えて飛んで行って,沢の鳥探しは終了した.

 

その後もたくさんのミソとオオルリが鳴く中帰路につき,最後に⑳キセキレイと㉑アオサギを回収.写真はまた引っ張ってきてのご紹介.

なんとも充実した1日となった.

その他カラスやヒヨドリなど入れると,記録した鳥は全部で26種.歩いた距離はちょうど10km.
やはり初夏の山はつよい.しかし,次行って当たるとも限らないのが山のメンドクサイところでもあり,面白いところでもある.行ってみなければわからないのである.

 

オオルリミソサザイの鳴き声はこちらへ.